しばらく本を読んでいました。 時間があるから、何か頭に情報を入れないと!と 新しい本や古本を興味あるだけ手に入れたけれど、 どれも途中で終わってしまった。集中力が持たなくて。 その中で、知らぬ間にページが進んでいった本がありました。 斉須正雄 「調理場という戦場」 著者は、フレンチレストラン「コート・ドール」のオーナーシェフ。 23歳でフランスに渡り、下積みの時からフランスで2人でお店を持ち、 日本に戻って自分のお店を出すようになるまでを綴っている。 ただの物語ではなく、斉須さんの体験を通して語る仕事論/人生論です。 「ぼくが見習いでまだ何もできずにいる時、 未来のことなど到底想像できませんでした。 いつも『シェフになる人には、ぼくとは別のルートがあって、 苦もなく何でもやってのける 特別な人なんだろうなぁ』と感じていました。 だけど、フランスで会った最高の人たちは、 ふつうの人でした。 壁に正面からぶち当たり、タンコブを作りながら 毎日ひたすら積み重ねていた。 ・・・・ぼくは、その姿に感動した。」 これを読んでいて、ある人のことをぽっと頭に浮かんだのです。 スゴイと思っていた人が、意外にこじんまりしたおじさんだった事件!? 時は遡り、新卒で入社した会社の入社式。 三○一生さんが、本社の屋上テラスで行われたお食事会に顔を出して、 or 私たちを見に?来て下さった。 突然ふと現れたその人は、'ふつうのおじさん'だった。 「世界で活躍する日本人デザイナー」 だよね・・・? 私が何を期待していたのか分からないけれど、ふつう過ぎて拍子抜けしてしまった。 目の前にいたのは、とても感じのよい 白髪混じりのおじさんだった。 でも印象が継続して今も残っているのだから、存在感は不思議とある人なのかもしれない。 微笑んだ顔のまま一生さんは、話し出した。 「みんなね、これから最先端の服を着て売るのだから 今寒いってコートなんて着てちゃダメだよ。」 と厳しくも?カッコイイ一言を残して 気が付くと消えていた。。 その時は野外だし、まだマフラーしててもいいくらい寒かった。 「そんなこといいながら、一生さん、実は寒かったんじゃない??(笑)」 と皆で言っていたのだけど:-)) とんでもない新入社員たちですね++) でも、当時の関西人事の代表も 「俺も最初会ったとき、'思ったより普通ですね~?'と本人に言っちゃったんだ~」 「だから今ここにいるんだと思うよ~」と。 おいっ!どんな会社だ!!と思いました。。 今思えば、そうしてみんな軽~くふつうでいる影にすごい努力をしていたのです。 入ってから十二分に忙しく働く人々を見て知っていたいたのに、 その時の私はどうしてそんなに働くのかあまり分からなかった。 色々周り回って、ようやくその必要性を感じるに至ったのです:-)遅いよこらっ 毎日何かを目指し、必死に働き、睡眠不足になりながらも 人の前では弱音は吐かず ふつうにいられる人、尊敬します。 でもそういう人、結構人生を楽しんでるような気がします。 楽しめるまでには、大変な苦労もあるんでしょうけど。 私は愚痴は多いですが、結構人生楽しんでいます:-D でも、それは人生甘んじているだけのところもあり、 基礎となる忍耐力と努力が少し掛け気味なので、そこを何とかするつもりです☆ ということを改めてこの本で実感したので、スッと読めたんだと思います。 頂点に上り詰めた人が、今までの自分を保つのは難しく 態度が大きくなったり、傲慢になり兼ねない・・・・ 斉須さんは、そうならないためにも、外の世界を見て歩き、 ある臆病さのようなものを持ち続けることが大切だとおっしゃっています。 そして最終的には、人間性が味やお店の経営を左右する鍵となると。 一生さんの歴史も 積み重ねであり、その人格がブランドを支えていると思いました。 学び、自身のアイデアを発信し、発表するまでの努力と行動力、人脈・・・ やはりすばらしい人なんでしょう。 経営面では・・・な会社なのだけど、このことはまた会社が別なので置いておきまして。。 才能ある人を見抜く目を三宅一成さんは持っていらっしゃる。 それは本などで読んでいましたが、実際ともに働いている方々や、 独立していくデザイナーを知れば分かる気がしました。 地道に実力を固め、一流になっていった人は、 見る目も養われているんだろうなぁと思います。 昔ピカソが、若い時分の岡本太郎に自分と同じ目を見出した。 そう言われた岡本さんは自分のやっていることに確信をもったという話が 岡本太郎著書「自分の中に毒を持て」の中だったか、ありました。 人生を通して何かを確立した人は、こいつは何かするゾ!という電波を キャッチできる人になっていくんでしょうね。 興味があれば、 「調理場という戦場」 読んでみてくださいネ☆ お料理とは関係なく読めます。 「ほんとうの人間の生き方から出るダシが'いちばんおいしいもの'なのです」 読んでいる真意が分かってくる本だと思います。 そうそう。読んでいたら、誕生日に母に連れて行ってもらったフレンチレストランが 斉須さんのお弟子さんのお店だったことを知りました☆ Patou パトゥ 神戸の元町駅ずっ~と上がっていったところです。 シェフと食べに来る人の距離が近くて、素敵なお店:-)) HP以上に雰囲気はいいです☆是非、どうぞ特別な日に~;-9 改装移転されたようなので、、行かれましたら、是非感想お聞かせ下さい☆
by horaice
| 2006-10-11 01:14
| Books and Movies
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Comments(2)
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cazorla at 2006-10-11 08:14
嵐山光三郎の「普通の血祭り」とか好きです。
四谷シモンが インタビューに答えて 普通であることってすごいんだよね と言ってます。 なんか 本体のないひとってとりあえず形から入るのだと思います。 アーティストとしてのスタイルがないと 自分が本当にアーティストかどうか自信がなくて。でも人間そんなにアーティストだから見かけもアーティストっていう人は少ないと思う。 でもhoraiceさんは 写真で見てもすごく素敵。
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horaice at 2006-10-11 21:25
○cazorlaさん あ、ありがとうございます。。。cazorlaさんも魅力的です;-)) 私はアーティストでも何でもないのですが、中身の伴った人になりたいです。その割りに勉強が足りないし、ボケ過ぎてるんですけど:-a 嵐山光三郎さんと言う方、面白い本書いていらっしゃるみたいですね。文化人の食と作品の関係を書いたものも興味を持ちました☆
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